情報数物研究会
2007年度 情報数物研究会
日程・場所 | 2008年1月9日水曜日 午後3時30分-5時 工学部電子情報システム・応物系3号館408室 |
講演者 | Valery Van Kerrebroeck 氏 (Dipartimento di Fisica, Universita di Roma 'La Sapienza', Italy) |
講演タイトル | Cycles in Random graphs |
アブストラクト | We study the cycles in sparse random graphs by treating them as a constraint satisfaction problem. This particular problem definition allows us to borrow techniques typical to the statistical mechanics field. We address some theoretical issues which have since long been part of random graph theory, such as the Hamiltonian decision problem. We also discuss the importance of these particular subgraphs to the analysis of real-world networks. |
日程・場所 | 2007年11月26日月曜日 午後1時-午後3時 工学部電子情報システム・応物系3号館408室 |
講演者 | 林 正人 氏(東北大学大学院情報科学研究科) |
講演タイトル | 量子誤り訂正符号の情報理論的性能評価 |
アブストラクト | 講演では,量子誤り訂正の数学的な枠組みについて最初に説明し, その後,ランダム符号化を行った場合での最小距離復号の下での誤り確率の評価を行う. この評価式はJST-NEC によって実装された量子鍵配送システムの安全性評価で実際に用いられた. |
日程・場所 | 2007年10月31日午後4時-5時30分 工学部電子情報システム・応物系3号館408室 |
講演者 | 森田悟史氏(東京工業大学大学院理工学研究科) |
講演タイトル | 断熱定理による量子アニーリングの解析 |
アブストラクト |
組み合わせ最適化問題の汎用アルゴリズムとして,
統計物理学とのアナロジーから焼きなまし法
(Simulated Annealing) が提唱され,多くの分野
で利用されている.近年,これに代わる手法として
量子揺らぎを活用する量子アニーリング(Quantum
Annealing) が注目を浴びている.トンネル効果に
より準安定状態から脱出することが可能なため,
焼きなまし法よりも効果的に最適解が探索できると
期待される.別の見方をすると,各時刻の基底状態
を辿る断熱的遷移によって解へ到達する手法とも
言える.このことから,量子情報の分野では量子
断熱発展(Quantum Adiabatic Evolution) とも
呼ばれている.本講演では,量子アニーリングの
基礎を解説するとともに,断熱定理から導かれる
結果を紹介したい. 参考文献 [1] G. E. Santoro and E. Tosatti: J. Phys. A: Math. Gen. vol.39 R393 (2006) [2] S. Morita and H. Nishimori: J. Phys. Soc. Jpn. vol.76 (2007) 064002 [3] S. Morita: quant-ph/0703050 |
日程・場所 | 2007年10月24日午後3時-4時30分
工学部電子情報システム・応物系103会議室 #2007年度通研講演会(情報数物研究会企画分)として開催いたします. |
講演者 | 樺島祥介氏(東京工業大学大学院総合理工学研究科) |
講演タイトル | More is different の話 |
アブストラクト | 多体問題への統計力学的接近法のエッセンスを概観し, 同様の接近法の物理系以外への応用の可能性について 議論する. |
日程・場所 | 2007年10月22日午後3時-4時30分 工学部電子情報システム・応物系3号館408号室 |
講演者 | 安田宗樹氏(東北大学大学院情報科学研究科) |
講演タイトル | 複雑な相関をもつ確率モデルに対する統計的近似アルゴリズムの数理とその応用 |
アブストラクト | 複雑な相関をもつ確率モデルを利用したアプリケーションが近年注目を集める につれて,それらを実用的時間内で解決する近似アルゴリズムを深めることが 重要な位置を占めてきている.本講演では特に統計力学的な近似理論であるプ レフカ展開による摂動的な近似法と,最近広く認知されるようになってきてい るビリーフプロパゲーションと基本的に等価な手法であるクラスター変分法に よる構造的な近似法に注目し,両者の数理的な関連性とその特徴について議論 する.また,相関の計算の際によく用いられる線形応答近似についても概説す る.近似的手法の数理的な理解は,個々のアプリケーションに対する解決手法 の選択などの重要な問題に対して役に立つことが期待される. |
日程・場所 | 2007年6月6日午後4時-5時30分 工学部電子情報システム・応物系3号館408号室 |
講演者 | 井上純一氏(北海道大学大学院情報科学研究科) |
講演タイトル | 確率的画像修復アルゴリズムの情報処理過程とその統計的性質 |
アブストラクト |
マルコフ確率場によるデジタル画像, 劣化過程の確率モデル化と
ベイズ統計に基づく原画像の推定は, 大きなサイズの画像を扱う上で
有効な方法の一つであるでことが, 信念伝播法(Belief Propagation)
に代表される平均場アルゴリズムの登場により認知されつつある.
その統計的性能を系統的に評価する上で, 情報統計力学の方法は
一つの有力な理論的指針を提供してきたが, そのアルゴリズムの
情報処理過程は各画素をミクロな変数とみなした多体系における
平衡状態への緩和過程としてとらえることができる. この際, その
確率モデルをマクロに特徴付けるパラメータは, 系が向かう平衡状態
をマクロに決定するが, 画像修復の問題においては, このパラメータ
自体をもミクロな画素と同時に推定しなければならない要請のため,
統計物理で問題とするようなスピン系の緩和過程とは少し趣が異なった,
ミクロな変数とマクロな変数が異なる時間スケールで絡み合った
ダイナミックスを扱わなければならない.
本講演では, このような複雑なダイナミックスを, 可解確率場モデルの解析,
マルコフ連鎖モンテカルロ法に基づく計算機実験, 2次元スピン系の
オンサガー厳密解を用いた方法などによって評価した結果と,
そこから画像修復という情報処理課題に対して得られる知見を紹介する.
具体的には, 講演者による解説記事[1][2]に基づく内容を, 事前知識を
必要とせずとも理解できるよう, 可能な限り平易に解説したい.
また, 時間が許せば, 関連する最近の話題として, 新聞などの印刷技術として
重要となる濃淡画像のB/W画像による表現法 --- デジタル・ハーフトーン処理
--- とハーフトーン画像から濃淡画像の復元 --- 逆ハーフトーン処理 ---
の統計力学を用いた定式化と, その統計的性能評価についても触れたい
(和歌山高専 雑賀洋平氏, 東大 岡田真人氏との共同研究)[3].
[参考文献] [1] 井上純一, EMアルゴリズムの動的性質 --- 確率推論におけるミクロとマク ロの絡 み合い ---, 電子情報通信学会誌 小特集「確率をてなずける秘伝の計算 技法 --- 古くて新しい確率・統計モデルのパラダイム ---」, Vol.88, No.9, pp. 719-723 (2005). [2] 井上純一, EMアルゴリズムと統計力学, 臨時別冊・数理科学 SGCライブラ リ, 「確率的情報処理と統計力学: 様々なアプローチとそのチュートリアル」, 田中和之 編著, サイエンス社, pp. 126-133 (2006). [3]J. Inoue, Y. Saika and M. Okada, Statistical-Mechanical Analysis of Inverse Digital-Halftoning, preprint (2007). →■当日の資料(PDF)■ |
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