情報数物研究会
2015年度 情報数物研究会
日程・場所 | 2016年3月7日月曜日16:20-17:50
情報科学研究科棟2階中講義室 |
講演者 | 田中宗氏(早稲田大学高等研究所) |
講演タイトル | 量子アニーリングを用いたクラスタ分析 |
アブストラクト | 組合せ最適化問題の汎用アルゴリズムとして近年,量子アニーリングが注目を集めている. 私はクラスタ分析と呼ばれる,膨大なデータ群を少数の部分集合に分割する問題「クラスタ分析」に対する,量子アニーリングの適用法の開発を行った. その結果,シンプルな熱アニーリングに比べ,我々の量子アニーリングのほうが、性能面で優位であることを示唆する結果が得られた. |
日程・場所 | 2016年2月19日金曜日16:20-17:50
情報科学研究科棟2階中講義室 |
講演者 | 水高将吾氏(北海道大学大学院工学院) |
講演タイトル | 過負荷故障カスケードに対する複雑ネットワークの安定性 |
アブストラクト | 電力網における大規模停電やインターネットの通信障害など、機能性ネットワークの機能消失の多くは、故障に伴う負荷の迂回によって故障が連鎖する過負荷故障カスケードが原因となって起こる。 過負荷故障カスケードに対する従来モデルの多くでは、負荷の平均値がノードの耐性を超えた場合に過負荷故障が起こると仮定されていた。 しかし、一般にネットワーク上のノードに掛かる負荷は時間とともに常に揺らいでおり、過負荷故障は負荷揺らぎの"extreme events"に支配されている。 本研究では、この点が考慮されたランダムウォークに基づく過負荷故障モデルを用いることによって、負荷揺らぎを考慮した過負荷故障カスケードに対するネットワークの頑強性を調べた。 |
日程・場所 | 2016年1月25日月曜日16:20-17:50
電子情報システム応物系3号館2階大セミナー室(206号室) |
講演者 | 安田宗樹氏(山形大学大学院理工学研究科) |
講演タイトル | 確率的深層学習の基礎数理−深層ボルツマンマシンの真相に迫る− |
アブストラクト | 深層ボルツマンマシンはマルコフ確率場モデリングを基礎とした確率的深層学習モデルである. 確率統計をベースとした設計思想に基づく機械学習モデルであるため,通常のニューラルネットワークと同種の入出力器としての利用のみならず,データ生成(事前確率)モデルとしてベイズ推論などに組み込むことが可能である. 本講演の前半部では,理論の土台となるボルツマンマシン学習の解説から始まり,深層ボルツマンマシンに至るまでの基礎を解説する. 深層ボルツマンマシンの学習には事前学習と呼ばれる発見的な技法が用いられるが,最新の研究により,その発見的な学習法が最尤法のある種の変分近似として意味付けられることが分かってきた. 後半部では深層ボルツマンマシンの事前学習の数理的意味付けについて紹介する予定である. |
日程・場所 | 2015年7月27日月曜日16:20-17:50
電子情報システム応物系3号館2階大セミナー室(206号室) |
講演者 | 川本達郎氏(東京工業大学大学院総合理工学研究科) |
講演タイトル | グラフ上のコミュニティ検出と統計的有意性 |
アブストラクト | コミュニティ検出は,広義には, グラフから何らかの構造を抽出する操作である. 最も典型的なコミュニティ検出は, 密につながっている部分グラフを列挙することであり, モジュラリティ最大化などの手法が有名である. 理論的な基礎付けが曖昧と思われがちなコミュニティ検出であるが, 近年,検出結果の統計的有意性についての研究が発展してきている. 本講演では,スペクトル法と呼ばれるアルゴリズムについて, 検出能力の統計力学的解析を紹介する. |
日程・場所 | 2015年6月1日月曜日16:20-17:50
情報科学研究科棟2階中講義室 |
講演者 | 許インイン氏(東京工業大学大学院総合理工学研究科) |
講演タイトル | 1ビット圧縮センシングの統計力学的解析 |
アブストラクト | 1ビット圧縮センシング(1bitCS)とは,スパースな原信号を線形観測によって得られた実数データの振幅情報を捨て,符号情報まで圧縮し(代わりに観測回数を増やす),それによって原信号を復元する方法である. 実数データをそのまま利用するより必要な情報量が極めて少なくなり,ノイズロバストなので,データ転送や保存に優れた情報圧縮技術である. 典型的な利用場面は通信である. 本研究では,統計力学のレプリカ法によって,L1ノルム最小化法とベイズ推論による確率的アプローチとの二種類の手法を1bitCSの問題に適応した場合の典型的な振る舞いを評価する. また,それぞれの方法について,メッセージ伝搬法によるアルゴリズムを開発する. |
日程・場所 | 2015年5月18日月曜日16:20-17:50
情報科学研究科棟2階中講義室 |
講演者 | 渋谷哲朗氏(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター) |
講演タイトル | 統計モデルを考慮した高速アルゴリズム設計に向けて |
アブストラクト | ビッグデータ時代には、大規模データベースを検索する洗練されたアルゴリズムの整備がこれまでよりもさらに増して必要とされている. 本講演では,大規模データベース検索を高速化する試みとして,統計的モデルを考慮した新しいアルゴリズム設計パラダイムについて議論する. 具体的な問題としては,生体分子(タンパク質)立体構造検索,DNAアセンブリ問題などについて扱う. |